富士日記 2.1

Feb. 28 wed. 「二月のことを記録しておく」

今年は遊園地再生事業団の本公演があります。五月にリーディングがあり、十月が本公演です。『ジャパニーズ・スリーピング/世界でいちばん眠い場所』。詳しくはまたこちらのサイトでお知らせします。ご期待ください。

さて、このままだと、二月の「富士日記2.1」がまったく記されずに終わってしまう。なんでもいいから記録しておかなくてはいけないのだ。二月は忙しかった。あっというまに終わってしまったが、なによりブログが更新されなかったのは、ツイッターにつぶやくことでブログの役割、というか、なにかを発信するブログの比重が低くなってしまったという事情がある。
とはいうものの、ブログとツイッターはべつのメディアだ。ブログなりに可能だった、「ある程度の論考」など、ツイッターの「140文字」で表現するのはもどかしい。平行してやればいいが、そうは器用にできない。できる人もいるだろうが、なかなかうまくゆかない。まして仕事で書かなくてはいけない仕事があるとき、ツイッターの気楽さにブログは負けるのである。むずかしい。

さて、前回の更新以来、なにがあったかといえば、大雑把なところを書いておけば、まず大学の授業が終わってレポートを読みまくったことがある。考えてみたらその前に岸田戯曲賞の候補作を読む仕事があり、三作品に関しては二度読んだし、とにかく「読む2月」だった。
なにしろ、ドイツ文化センターで「遊園地再生事業団ラボ・リーディング公演」があったくらいだ。『バルコニーの情景』である。「リーディング」だけにそりゃあ読むさ。ただただ読んだ。その公演でわたしはト書きを読んだ。読んでるなあ。地道に読んでいる。さらに豊崎由美さんと外国文学について語るトークライブ「よんとも」があり(つまり、前のゲストが次のゲストを紹介するという、テレビでやっているあれの形式で、正式な名前が「読んでいいとも、ガイブンの輪」だったと思う)、長編小説を三冊、一週間ぐらいで読んだ。
読んでよかった。たいへん刺激された。書くこと、小説だけではなく、もちろん戯曲もそうだが、そうした営為へのモチベーションが、ぐっと高まったのだ。読んでよかった。なにか美味しいものをいただくような感じで読んでいた。読むことの悦楽。たとえば、スティーブ・エリクソンの『エクスタシーの湖』を、豊崎さんから読むようにと、紹介してもらっただけでもいい仕事だった。そんな出会いのようなもの、ゆきあたりばったりで生きているけれど、そのあてどなさのなか、なにかに出会う。出会って人は変わってゆくものなのではないか。

そんななか、新潮社より『考えない人』が出たのだ。『時間のかかる読書』(河出書房新社)から三ヶ月、また新刊が出せるなんて幸福である。こちらも、しりあがり寿さんと刊行記念のトークがある。時間がありましたらぜひ足を運んでいただきたい。
そんなこんなの2月が終わった。2月最後の写真は、イシハラ(右)と、弟子のアベ(左)だ。ここんとこ会っていないがどうしているのだろう。それはともかく、三月はこのノートを更新できるだろうか。なんとかしたい。というか、なんとかする。三月は少し時間に余裕ができるはずなのだ。「遊園地再生事業団ラボ」についてももう少し詳しくその活動の意義について書きたいのだが、とりあえずここまで。わたしはいま、もっとほかに書かなくてはならない仕事を抱えているのである。

(18:19 Mar. 16 2010)

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