過去の公演

遊園地再生事業団ラボ #002

 作 カトリン・レグラ
 翻訳 植松 なつみ
 (『ドイツ現代戯曲選30』 論創社より刊行中)

 演出 上村聡

 出演 永井 秀樹 谷川 清美 町田 水城 牛尾 千聖
  宮崎 晋太朗 田中 夢 宮沢 章夫(ト書き)

 主催 GOETHE-INSTITUT TOKYO
    東京ドイツ文化センター


遊園地再生事業団ラボ #001

 取り上げた作品はドイツの劇作家ジョン・フォン・デュッフェルの『バルコニーの情景』(平田栄一朗訳)。テキストは論創社から刊行されています。

 「パーティー会場の建物。会場脇の夜更けのバルコニー。やってくる人々によって語られる、かみ合わない独りよがりなスモールトーク。背後に見え隠れする過酷な現実と、過酷ゆえの苦い喜劇。いくつもの韻文によって構成された、ドイツのベストセラー作家による社会劇。」

 とても面白い戯曲でした。また新しい言葉の世界を試すにふさわしい野心的な作品だというのが、上演をしてからわたしたちが感じた印象です。すのでどうかリーディングを聞きに来てください。ラボ公演は、さまざまな試みを今後も持続してゆくつもりですが、それを通して、またべつの視点から演劇を考え、それが本公演にも反映されればと考えていますし、そのことで集団創作の手がかりになればいいのですが。


鵺/NUE

 2006年の秋。世田谷パブリックシアターの主催により、野村萬斎企画「現代能楽集」のシリーズに宮沢が挑戦した作品。謡曲「鵺」を題材に、宮沢が書いたのは、『鵺/NUE』である。ヨーロッパ某国空港内になるトランジットルームを舞台に、ヨーロッパ公演を終えた演出家、俳優らが、かつて日本の小劇場で活躍し演出家と供に舞台を作っていた人物「黒ずくめの男」に出会うところから物語ははじまる。
 過去の劇言語を現代によみがえらせることをコンセプトに、清水邦夫の戯曲を大胆に引用した作品。宮沢にとっては、はじめて仕事をさせてもらった若松武、上杉祥三らとの仕事で、またべつの刺激を受けた記念すべき作品になった。さらに清水邦夫さんが、現代人劇場、櫻社のために書いた七〇年代の作品を引用することで、ある過ぎ去った時代からいまに繋がるなにかを求める作品になった。


モーターサイクル・ドン・キホーテ

 2010年の6月に上演。ハーバード大学のスティーブン・グリーンブラッド氏の立案によって、シェークスピアの失われた戯曲『カルデーニオ』をもとに世界数カ国で、それぞれの解釈によって創作された作品の日本における上演の実践として作られた舞台。横浜赤レンガ倉庫で2006年5月に上演された。赤レンガ倉庫の建物の構造を生かしバイクを走らせたが、『カルデーニオ』が、セルバンテスの『トン・キホーテ』を元にしていることから男二人の旅の物語であり、補助線となったのは、往年のアメリカ映画『イージーライダー』である。タイトルは、もちろん、チェ・ゲバラの青年時代を描いた『モーターサイクル・ダイアリー』からの引用。どちらの映画でもバイクで旅に出るとき登場人物たちは、「俺たちはドン・キホーテだ」と言う。男二人が旅をすれば、それは世界中どこに行ったって、「ドン・キホーテ」なのである。横浜市鶴見区のバイク屋を舞台にした、男と女の愛憎、そしてバイクの物語。ベースになっているのは、『カルデーニオ』。ここにグリーンブラッド氏の言う「文化の流動性」はあった。

 

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