2010年の10月、遊園地再生事業団は、2年ぶりの新作『ジャパニーズ・スリーピング/世界でいちばん眠い場所』を座・高円寺で上演した。連日、いっぱいのお客さんにお越しいただけたことは、いまさらながら感謝している。ここでは林巻子の美術がきわめてすぐれていた。床はすべて鏡にも似た板で覆い、舞台上の俳優の鏡像がそこに出現する。さらにその姿をカメラ(今野裕一郎)がその場で捉え、背後の壁に投写される。美術作品として舞台を組み立てた側面が大きかった。観客の支持と、生中継する方法の深化がテン年代に向け、また新しい一歩が踏み出せたようで勇気を与えられた。
そしてその後も旺盛な、といっても、それはたとえば三年おきとか、そういったペースだったが、自分たちが納得のゆく制作体制ができ、さらに宮沢の創作意欲が高まったとき、次の作品が生まれる。それが次作の『ニュータウン入口』だった。
「ニュータウン入口」(2007年9月)はこちら