2013年は考えてみると、舞台の仕事をかなりしていた。なにしろ、歌舞伎も書けば、コメディも作った。遊園地再生事業団『夏の終わりの妹』の直後、F/T(フェスティバル・トーキョー)のプログラムのひとつとして、11月(東京芸術劇場シアターウエスト)で、エルフリーデ・イェリネクの『光のない。(プロローグ?)』を上演する。
考えてみると節操がないとはこのことか。自分のスタイルにまったく一環性がない、といま気がついた。『夏の終わりの妹』で出会ったのが照明の木藤歩さんだ。本作でもとても繊細な照明を作ってくれた。美術は宮沢自身。土俵にしてくれと舞台上に盛り土をした。それにしてもイェリネクはてごわかった。元々の『光のない。(プロローグ?』という戯曲はごく短い。べつに長い作品にする必要はないのだが、なにか物足らずイェリネクの他作品からも言葉を引用しつつ、その世界を造形することにした。
出演者は5人の女優たちだ。なかでも元転形劇場で、現在ARICAで活動する安藤朋子さんに身体表現において多くを学んだ。あの太田省吾の『水の駅』のようにゆっくり歩く。いや、ゆっくり歩くと書くのは語弊があるな。もっと異なる時間をどこまでも引き延ばす歩くことによる表現だ。
女優たちだけの舞台ははじめてだった。また異なる舞台を作ることができた。
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