2007年9の遊園地再生事業団は、前年のプロデュース公演『モーターサイクル・ドンキホーテ』『鵺/NUE』といった方向から、『トーキョーボディ』『トーキョー/不在/ハムレット』の路線にあらためて戻った。若い俳優を中心とした出演者たちとの共同作業による、『ニュータウン入口』だ。
もうあれから十年以上になる。時間が過ぎるのは早い。
四月に「リーディング公演」、六月に「ワークインプログレス」。これは『トーキョー/不在/ハムレット』と同じ「作り方の試み」。けれど、同じことをやってもしょうがない。そこからまた異なる表現がなにかできないか。
考えることはまだあるはずだし、演劇の可能性をもっと拡大すること、演劇を通じて、作る側も、そして観客も意識を拡張するための舞台ができればと考えていた。本公演が上演された(三軒茶屋シアタートラム)九月の上演まで作業は続き、『トーキョー/不在/ハムレット』と同様、試みとしてのプレ公演、ワークインプログレスといくつかの作業を経て作り上げた。
若松武史さんをお迎えしての本公演、さらにオーディションによって集まった俳優によって様々な試みをした。その試みが、また誰からも理解してもらえなかったかもしれないし、いまの演劇の潮流からはまったく外れたところで作品ができていたかもしれない。それはそれで、まあいいかなとしか考えようがない。なにしろ、そんなふうにしかできないからだ。二〇〇〇年代になってからはじめた「遊園地再生事業団」の方法だ。つねに考えること、考え続けていること、その運動している状態自体が遊園地再生事業団と、宮沢の演劇へのアプローチだ。潮流から遠く離れ、だが、「現在」にコミットしつつ舞台を作ってゆこう。それは刺激的な試みだ。むしろ、作っている自分たちにとって作業それ自体が、刺激的な体験になることがもっとも必要にちがいない。
さらに、二〇〇八年の四月、NHKの芸術劇場で『ニュータウン入口』(芸術劇場版)が放映された。「映像作品」として、なにかを作ろうという野心があった。舞台をどのように映像化するか、映像として記録を残すかにはさまざまな方法があるだろう。いま、こういうことをやりたかったという、NHKのNディレクターと宮沢との共同作業だ。機会があったらどこかで観てもらえればうれしい。
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