Sep.12 「なごむ日記2」

■14日に「劇中歌」と「遠州弁」を録音しに袋井にゆくことはきのう書いたが、白水社のW君が運転する車を使う。僕の舞台によく出ていたと書くより、いまや野牛男(のぎゅお)の母として世間に認知された笠木に、袋井に一緒に来ないかとW君が誘った。いると楽しいやつだからだ。しかし野牛男(のぎゅお)も一緒に連れてゆくことになる。チャイルドシートを用意しなければいけない。まったく面倒なやつだよ。
■あと、笠木はいま、どこに行っても、「野牛男(のぎゅお)君はお元気ですか?」と声をかけられるらしい。野牛男(のぎゅお)も今年で12歳。来年はもう中学生だ。知人の子供は育つのが早い。
■W君が考えた、『月の教室』の帯の言葉はすごかった。
■「野牛男よ!」
■この話はそろそろやめにしよう。

(1:13 Sep.13 2001)
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Sep.11 「あえてなごむ日記」

白水社のW君が、『月の教室』のゲラを届けに豪徳寺に来てくれた。W君の話によると、このところオンラインでタブッキの小説を注文する人が多いという。ここに書いたからかだろうか。だからというわけではないと思うが、また白水社の本をいただく。デイヴィッド・ロッジの『考える』。うれしい。そう書くと、まるでほかの出版社の人に本をくださいと言っているかのようだが、言っているのである。
■『月の教室』にはミニCDがつき、今度の14日に「劇中歌」と「遠州弁」を録音しに袋井にゆく。まだ桜井君の音源ができていないとのこと。またか。また当日か。
■しかしいまミニCDなどすっかり廃れ、ほとんど製造されていないそうで、発売されているのは演歌ばかりとのこと。技術関係の人がサンプルとして用意したのも演歌のミニCD。W君が持ってきてくれた。「上条優生」。聞いたことのない名前だ。「優生」と書いて「ゆい」と読む。4曲収録され、一曲目の『男海峡・夫婦舟』と三曲目の『女みれん川』はいかにも演歌らしいタイトルだが、二曲目はどう判断していいのかむつかしい歌だ。なにしろ、『横綱を取れ』という曲名。
■歌詞を少し引用してみよう。一番の歌詞。

■さすがに『横綱を取れ』だ。「ああ、相撲」もすごいし、「世紀の大暴れ」がなおすごい。さらに気になるのは二番の次の部分だ。

■きびしい世界である。さらにこういう詩もある。「勝ちを勝ち取る大(だい)勝ちどきがあすはでっかい綱をとれ」。そして、こうした演歌らしい歌が並んだCDの、最後に入っている曲がいよいよ理解できない。『ワインレッドの恋』。いきなりなにをいいだすんだ。

■台風一過。夕方、外に出ると、西の空がやけにきれいだった。
■近くにある「峰」という洋食屋でオムライスを食べる。引越をする。もうこのオムライスも食べられないかと思うとさみしい。店の人から「京都はどうでした?」と声をかけられた。べつに京都で仕事していることを話した覚えはないが、僕の顔を見ると、「朝日に書いてるんでしょ」などと話しかけてもらえ、返事をするのはたいへんだが、それはそれでうれしい。ひとしきり京都の話。それもまた楽しい。
■人と会っていれば気が晴れる。仕事柄、家にいることが多い。コンピュータの前にばかりいるからだめなのではないか。「システムを落とせ町へ出よう」だ。

(5:07 Sep.12 2001)
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