■いろいろな人が遠方から来てくれた。あるいは、うちの大学の学生たち。白水社のW君。翔泳社にいたE君。コンピュータ関係のライターをなさっているFさん。文學界のOさん。例の村山。大学で舞台芸術研究センターの仕事をしているHさん。以前まで僕の演出助手をしていてきのうまで浜松祭りに出ていたというF君。ワークショップに来ていた者らの姿も多く見かけ、わざわざ足を運んでくれて申し訳ないような気持ちだ。天気がよくてなにより。両親と妹も来てしまった。終演後、「歌がよかった」と父親。意外な感想に驚く■二回しかない上演の最後の舞台。そのせいだろう、伊地知ががんばりすぎ。いやらしいほど力が入る。あれほど言ったのにがんばってしまった。がまんできず、舞台のそでで上演中、伊地知にダメだし。たとえ市民の劇でもだめなものはだめとはいうものの、しょんぼりしてしまった伊地知を見て、申し訳なくなった。そもそも上演中だし■そでから舞台を観る■恥ずかしい話だが、感慨深いものがあるよ、やっぱり、この九カ月ほどのことを思い起こせば。で、いろいろなことを考えながらそでから舞台の役者たちの姿を観る。ほんとにいい人たちに会えたと幸福な気分にひたる■終演。そでの暗がりのなかで役者たちに「おつかれさま」と声を掛ける。高校生たち号泣。まいったなあ。そのままいたら、僕まで泣いてしまいそうなので、すぐに外に出た■一日のことを全部書くと、たいへんな長さになるので割愛。打ち上げは月見の里学遊館のなかで立食パーティのような感じ。高校生は相変わらずわーわーにぎやかだし、泣いたり、笑ったりで忙しくてしょうがない。みんなとずっと一緒にいたい気分だがもう帰る時間だ。さらばさらばと袋井をあとにする■その後、白水社のW君は新幹線の最終に乗り遅れ、掛川の僕の家で朝まで時間を潰した。演出助手のT君、制作の永井、そして伊地知らとずっと話をする。伊地知は翌日仕事のはず。寝なければまずいのに朝までいる。伊地知には助けられた。いろいろな意味で助けられた。ほんとうにうれしかった。妹が二日前に作ったというモツの煮込みをみんなで食べたのだが、どうもすっぱい。W君はさっぱりした味だと言うし、T君は二杯もたいらげる。伊地知も美味しそうにたべている。僕が、「これすっぱくない?」と言うと、みんな口を揃えて、「すっぱいすっぱい」と応えた。「なんでも腐りかけがうまいんだよ」とわけのわからないことを伊地知が口にしたので笑った。結局、モツはすべて食べてしまった。胃は大丈夫なのか。あははあははと夜は明けたのだった■朝になってみんな帰る■少し茫然とした。いろいろなことを考え、寝付かれない■とにかく、面白かった。面白い仕事だった■朝の新聞で、ヤクルトの池山が300号ホームランを打ったと知った。神宮で打ってほしかった。神宮での池山のホームラン、ジュビロの中山のゴール。こんなに幸福なことはない。いろいろな思いが交錯する朝だったのである■
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