[2001年04月21日]


■袋井でまた稽古■伊地知に怖い話を教えられた。先週の日曜日だから、4月15日、稽古を終えて食事をし、いつものように伊地知の車で送ってもらった。また「けもの道」を通って帰ろうということになった。ユニバーサルスタジオジャパンにはもう行かなくてもいいと思ったほどの恐ろしいあの道だ。深夜になる時間。どこをどう走ったかよくわからない。何週間か前にも行ったあの道に向うはずだったが、伊地知が道を間違えたという。引きかえしてべつの道をゆく。だが、どう走ってもあの道には出ない。それであたりをぐるぐる走った。そのうち伊地知が、「なんか変だ」と言い出す。走っても走ってもたどり着かず、伊地知も走ったことがないという山道に入ってしまった。「なんかおかしいよ。変だよ」と伊地知はくりかえす。見れば額にあぶら汗さえ流す。その日の昼間、老人を四人乗せたベンツが私たちが迷っていた森のなか、農業用水を溜めた池に落ちる事故があったという。発見されたのは三日後。つまり、私たちが道に迷っていたころは、まだ池にベンツは沈んでいたことになる。道に迷っているすぐそばの池で、老人が四人死んでいた■「見つけてーって呼んでたじゃないかねえ」と伊地知■伊地知の話にぞっとしながら稽古をはじめる。高校生たちも少し疲れ気味か。声があまり出ない。稽古場が変わった違和感もあるようだ。ちょっとしたシーンをじっくりやろうと思うとすぐに時間がなくなる。細かい部分をチェックしてもそれが安定するまで繰り返すのではなく、次へ次へと進んでゆかなくてはならない。少し長めに流してみた。約40分。せわしない気がする。もっと落ち着いて芝居すればいいところを、慌て者ばかりいる世界のようだ。あっというまに稽古時間は過ぎてゆく。何度も同じ場面を繰り返すことで気がつくことがよくあるが、その余裕がないのが残念だ。もっとじっくり参加者たちと稽古場でつきあいたい。人が多いと、見逃してしまう者も何人かいて、ひとりひとりに演出がゆきわたらない。それは芝居の場合、意味のないことではないか。作品さえ成立していればいいというものではないだろう。特にこうした市民参加の劇では■で、いろいろトラブル。あとチケットが売れているのかどうか、市の人がなにも言っていないのが不安。客がいないところで芝居するのはいやだよ。いろいろありつつも、やっぱり稽古場は楽しい■
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