■去年の九月にワークショップをはじめ、月に一度ずつ、何回か袋井で作業してきた。ベケットの『行ったり来たり』の構造を使って短い劇を作らせたが、そのとき一番よくできていた女子高生たち三人の台本を、そのまま『月の教室』に使っている。きょう、稽古のいちばん最後にそれをやってみた。ほんとうに驚いた。九月のときとは比べものにならないほどよくなっている。数ヶ月で、彼女たちが一気に成長したのを目の当たりにし、そのことに驚いたし、素直に感動した。ワークショップの時点ではまだ子供の劇だった。きょう見るとしっかりした大人の表現になっている。「うまくなった」という浅薄な言葉よりもっと深い言語化できないなにものか。こんなに深い表現ができるようになるとは想像もしていなかった。この成長率は異常な高さだ■ほかにも、このあいだ僕がいないあいだの指示を伊地知にメールで送ったが、指示の通りしっかりできている場面もあるし、それぞれが自覚的に取り組んでいることに助けられる。なにか指示すれば、それが何を意味しているかすぐに把握し、自分たちなりに考え工夫してくる。不思議なほどだ。それにしても、「変化」を見るのがこんなに面白いことだとは思わなかった。稽古が終わってからしばらく呆然とした。外に出て一人でたばこを吸った。見上げるともう夜だが、袋井の空はものすごく広い■稽古はまた一週間後になる。またなにか変化があるかもしれない、それが楽しみになってきた■
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