■自転車で大学まで走る。出町柳までは地図を見て考えていた通りに走ることができたが、そのあとがどうもいけない。道に迷う。出町柳にさえ着けばこちらのものだと思っていると先はまだ長いのだった。京都は南から北に向かってゆるやかな上り坂になっているらしく大学に向かうのはつらい。舞台芸術学科の研究室に寄り、Kさんから事務的なことなどいくつか説明を受ける。映像のクラスなのに、演劇クラスの必修科目である僕の授業を受けたいという学生の話を聞いた。気持ちはよくわかるが、どうしたらいいのか判断に困った。帰り、遠回りして一乗寺にある恵文社という本屋に入る。おそるべき品揃えの店だ。ポストカードや文房具が並んでいるあたりは青山のオンサンデーズに似ている。いい本屋を教えてもらった。帰り道は、逆に下り坂で快適だ。寺町通にある三月書房に行く。ここも独特な品揃え。十数年前に来たとき土方巽の本を買ったのを思い出す。それで気になったが、三月書房にしろ、一乗寺の本屋にしろ、メディアショップにしろ、寺山修司は必ず置かれていることで、いま京都は寺山修司なのだろうか。どうも釈然としない。寺町通にはいい本屋がもう一軒あるはずだが、名前を忘れて探すことができなかった。そういえば、「裏寺町通」というのがあると知って驚いた。「裏」ってことはないじゃないか。部屋に戻ると仕事机が届いていた。組み立てが大変だったがこれでようやく仕事ができる。
●九月分
●世田谷日記
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