■八王子にある多摩美術大学に行った。芸術祭(繰り返すようだが、学園祭のこと)のパンフレット用にインタビューをしたいというからだ。さすがに学生がやることだけあって段取りが悪い。インタビュアーはただひたすらあたふたしている。多摩美の変化に驚いた。校舎が増えている。昔の面影はほとんどなく、ごく一部の建物が二十年前を思い出させる。大学のキャンパスらしい作りで中庭もある。全体的に規模が大きくなっているのはどうしたことだ。クラブハウスという建物があってサークルが部屋を持っているが、周辺はごみためのような荒廃だ。かなりだめである。ロリータ男爵という多摩美の演劇部を母体にした劇団があり、演出をしている人が演劇ぶっくの表紙になったというのでサイン会を学内でやっていた。それもひとつの冗談だと思うが、どこまでもふざけていてたいへんよろしいものの、冗談だったらもっと大きく多摩美じゃない場所でやったらどうかと思った。二十年ぶりの懐かしさなどなにもないのも不思議だ。学生たちを見ていると、おそらく自分もこんなふうにだめだったんだろうと、いやな気持ちにすらなる。
●九月分
●世田谷日記
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