■Wさんという方からメールをもらった。若い人なのだろうか、「ちかごろ、若者の街には、カフェやバーと同レベルでカフェバーという種類の店があるらしいのです」とあって驚いた。「カフェバー」は八〇年代の言葉です。いまはじまったことではありません。で、久しぶりにその言葉を思い出し、だったら、「カフェ・ピコンバー」はべつにいいのかと奇妙な気持ちになった。記憶を掘り起こすと八二年ぐらいにカフェバーは一世を風靡したはずだ。すると、どうしたって、霞町の交差点を思い出しますな。霞町というのは旧地名。つまり西麻布のことだ。そこにシリンという店があった。あれカフェバーかな。カフェバーは当時からだめな感じがあったが、シリンはもう少しまともな店だった。竹中直人と桑原茂一さんと、あと松本小雪が一緒にいて、隣の席では浅田彰と坂本龍一が話をしていた。こう並べるといかにも八〇年代な感じだ。十五年ほど前のこと。どうしてそのことをよく覚えているか。そのとき僕は鉄観音茶を飲んだのだが、それ一杯、五千円だったからだ。なんだったんでしょうあれは。そういえば、朝日新聞の夕刊の連載小説が新しくなり、高橋源一郎が書いている。問題は、添えられているイラストが松本小雪のもので、いつから彼女はイラストレーターになっていたのだろう。アイドルだったことはいまでは誰も知らないのだろうかとか、いろいろなことが思い起こされる日だ。
●九月分
●世田谷日記
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