■昼間、あまりに暑いのでエアコンのある部屋でためしにSE/30を使って小説を書いた。SE/30に入っているシステムは漢字Talk7.1だ。漢字変換はことえり、エディターはYooEditという貧弱な状況だが書けないわけではなくむしろエアコンがあって快適だ。SE/30エアコン付きの威力はすごい。だが、フォントが問題だと思う。漢字Talk7.1のOSAKAというフォント、というか、SE/30で表示されるOSAKAはかわいい。どうも調子がでない。小説を書いている気分にならないのだ。先日、試写で見た映画『路地へ 中上健次の残したフィルム』には生前の生原稿が出てくる。有名な話だが中上健次は集計用紙に原稿を書いていた。文房具屋でよく売られている集計用紙だ。それにびっしり細かい文字が埋められている。『一冊の本』のOさんは海燕という文芸誌にいたころ中上さんの担当で、話を聞くと、びっしり文字で埋まった集計用紙一枚が原稿用紙にすると決まって七枚だったという。書く環境は慣れだと思う。どうもそれでないと調子が出ない感じ。かつての筆記具で、この原稿はボールペン、これは万年筆、こっちは鉛筆と変えていたのを思い出す。中上健次がもしコンピュータを使っていたら表計算ソフトに書いていたかもしれない。それでないとどうも調子が出ないと言ったかもしれない。
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