■京都で学科会議。朝、十時半に家を出て、帰ったのが深夜十二時過ぎ。大学ではいろいろな話を聞く。大学のことをよく書いているが、これまで僕が秋から教える学校名を記していなかったのではないか。京都造形芸術大学の映像舞台芸術学科である。突然、そんなことを書いたのは、この日記を大学の事務局の人たちが読んでいるらしいという話を聞いてサービスしているわけではないのだ。しかも、校舎まで行くあの急な坂をなんとかしてくれ、このままじゃ俺は体力が増進して健康的な人間になってしまうとか、研究費で買うことができる書籍にいちいち大学のスタンプを押さなきゃならないのはどうなんだ、ことによると家に来た人が学校から僕が本を盗んだと思われやしないかとか、そういったことを言いたいのでもないのである。学科会議に出たらいろいろな人が読んでいると知った。へたなことは書けません。ところで、大学の施設は金がかかるのだなあと思ったのは、映像のラボを作るのに業者が出してきた見積もりがコンピュータ機器の設備だけで四億円だそうだ。みんな腰を抜かした。業者の人はなんでもないことのように、「四億円ぐらいでやりますか」と、よく居酒屋の人の「じゃあ一人三千円ぐらいの予算で」といった口振りだったらしい。いま計画されている予算でいうと、居酒屋の人に、「150円しかないんです」と言っている感じだ。あ、思い出した、かなり以前、教務課に電話して、他大学から年三日の集中講義の話をいただいたがよいのでしょうかと問い合わせたがまるで返事がない。困っているのだが、べつに、この日記を事務局の人が読んでいるからと書いているわけではけっしてない。その大学から催促が来ているが、こうなったら返事がないのはいいということだろうと解釈させてもらおう。だが、大学が発行している瓜生山通信などの出版物に原稿を頼まれているのにわたしも何も書いていないので、弱味があるのも否めないのだった。
●七月分
●世田谷日記
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