[2001年09月11日]


■ここだけ深夜に書き直した。アメリカで同時多発テロ。永井からのメールで知った。きのう「小説ノート」を書いた直後で、ひどくおどろく■白水社のW君が、『月の教室』のゲラを届けに豪徳寺に来てくれた。W君の話によると、このところオンラインでタブッキの小説を注文する人が多いという。ここに書いたからかだろうか。だからというわけではないと思うが、また白水社の本をいただく。デイヴィッド・ロッジの『考える』。うれしい。そう書くと、まるでほかの出版社の人に本をくださいと言っているかのようだが、言っているのである■『月の教室』にはミニCDがつき、今度の14日に「劇中歌」と「遠州弁」を録音しに袋井にゆく。まだ桜井君の音源ができていないとのこと。またか。また当日か■しかしいまミニCDなどすっかり廃れ、ほとんど製造されていないそうで、発売されているのは演歌ばかりとのこと。技術関係の人がサンプルとして用意したのも演歌のミニCD。W君が持ってきてくれた。「上条優生」。聞いたことのない名前だ。「優生」と書いて「ゆい」と読む。4曲収録され、一曲目の『男海峡・夫婦舟』と三曲目の『女みれん川』はいかにも演歌らしいタイトルだが、二曲目はどう判断していいのかむつかしい歌だ。なにしろ、『横綱を取れ』という曲名■歌詞を少し引用してみよう。一番の歌詞■
夢で夢見る
名勝負
俺がやらねば
誰がやる
ああ、相撲
世紀の大暴れ
人智つくして
天命を待つ
豊後男の祝い酒
■さすがに『横綱を取れ』だ。「ああ、相撲」もすごいし、「世紀の大暴れ」がなおすごい。さらに気になるのは二番の次の部分だ■おのれの敵は、おのれに勝てと、おのれを磨く、おのれ道■きびしい世界である。さらにこういう詩もある。「勝ちを勝ち取る大(だい)勝ちどきがあすはでっかい綱をとれ」。そして、こうした演歌らしい歌が並んだCDの、最後に入っている曲がいよいよ理解できない。『ワインレッドの恋』。いきなりなにをいいだすんだ■台風一過。夕方、外に出ると、西の空がやけにきれいだった■近くにある「峰」という洋食屋でオムライスを食べる。引越をする。もうこのオムライスも食べられないかと思うとさみしい。店の人から「京都はどうでした?」と声をかけられた。べつに京都で仕事していることを話した覚えはないが、僕の顔を見ると、「朝日に書いてるんでしょ」などと話しかけてもらえ、返事をするのはたいへんだが、それはそれでうれしい。ひとしきり京都の話。それもまた楽しい■人と会っていれば気が晴れる。仕事柄、家にいることが多い。コンピュータの前にばかりいるからだめなのではないか。「システムを落とせ町へ出よう」だ■
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