[2001年07月13日]


■初日の朝。授業における発表という意識のせいか、いつもの公演とは少しちがう気分で目が醒める。よし、きょうも朝から授業だという感じ。ただ、その授業の内容が特別だ。この二日ぐらいはタクシーで学校にゆこうと決める■二時間ほど稽古。それから準備をして、ゲネ。力が抜け、ほどよい心地よさが出てきた。とはいっても初日、本番、客が目の前にいる、緊張するといったことで、芝居が変わるんじゃないかと思いつつダメだし。初日が開けるとほとんどダメを出さないので、これが最後の細かいダメだし。それが終わればもう僕の仕事はない。開演まで時間ができた。studio21の外に出るとひどく蒸し暑い。お客さんが来てくれるか心配になりつつ中国からの留学生と話をする。中国のこと、政治のこと、日本での生活のこと。面白い■開場。そんなに動員できないだろうと思っていたらすごく人が来てしまった。学科の学生はもちろんだが、他学科の学生、さらに外部からも。入りきらないだろうという感じになってきて、学科のKさんから「あした追加公演しますか」と言われた。授業の発表で追加公演というのも大袈裟すぎるな。余裕を持って椅子を並べた席を桟敷にすればかなり入ると計算して追加公演はやめた。お客さんにはゆったり観て欲しいのだが。結局、開演は20分押し。そのあいだ、作品上必要なタワーの上にあるブースにVJチームがいて、かわいい映像と音楽を流す。20分押しの空気をなごませてくれた■映像・舞台芸術コースの教員の方たちが何人も足を運んでくれたし、小暮さんの姿も。袋井高校のO先生がわざわざ来てくれた。そして『あの小説の中で集まろう』の初演で百子を演じていた朴本が来ていた。祇園祭のために実家に帰ってきているという。見れば、最前列の中央に、舞台芸術センターのHさんがいる。ああ、あんな場所になぜ。芝居がだめだからって寝ないでくれ、寝るな寝るなと念を送る。僕の舞台はよく眠れるから困るよ■やっぱり初日だ。芝居が過剰になっている。押さえろ押さえろとつぶやきながら客席で観る。なによりいいと思えたのは、客席でただの観客のように僕がいてもとどこおりなく舞台がはじまり劇が進行してゆくことだ。時間が来れば、舞台監督の学生が、俳優をしている学生たち、スタッフをつとめる学生にキューを出す。音楽が流れる。照明が消える。学生たちがすべて進める。よくできたなあ、よくはじまったなあと、照明が明転し、舞台上に役者が板付きになっているのを見て、ちょっとした感動があるのだった■舞台終了後、一年生の学生で、狂言師の家に生まれすでに役者をしているS君が来て、「先生、出たい」といきなり言う。そんな学生が何人か。それがいちばんうれしかった■緊張から開放されたからだろうか、終わってから眠くなる。緊張しているつもりはなかったのだが、どこか緊張していたな、きっと、きょうだけではなく、この二ヶ月■
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