[2000年11月16日]


■教員会議と学科会議があって学校へ。教員会議は全学の教員や職員が集まって、「メンタルヘルス」について心理学の先生から話を聞く。で、内容を聞こうと思うが先生の話し方が演劇に関わる者としては気になる。わかりやすく言うと浜村淳ということだが、関西語圏に特有の、「語りの文化」があるのではないか。独特の語り口だった。学科会議は事務的な話が多い。大学の授業を通じてたくさんのことを勉強できると思っていたが、運営に関するもろもろの実務について学んでしまう。「世間」と向かい合う現場は大変である■きのう、若冲について書いたあと、たまたま桜井圭介君が書いた文章「明るいオブセッション」をネット上で読んだ。とても面白い。そのことで若冲のことがまたわかった気がした。あの独特な空間の認識。あるいは、立体感のない画面。精緻なレイアウト。もちろん、それが若冲の魅力だが、「現在」へとそれを繋げて考えればいわばポストモダンな表現に感じる魅力的なものが若冲に見て取れる気がする。そして、それゆえ垣間見える脆弱さも■坂口安吾が、ある文学者の死に際してその作品と作家の生き方を論じ、汚濁した世界や、面倒な世の中をはっきり見、逃げず、向かい合い、そこからはじめて純粋なものが見いだせるといった意味のことを書いて、文学者の死を悼むと同時に、作品とその死の弱さを嘆いた■「世間」はむつかしいと、複雑な思いの秋である■

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