■本日は授業がない■で、雨が降るなか京都国立博物館に「伊藤若冲」の絵を見にいった。雨だし、平日だし、空いているだろうと思ったら、若冲、大人気である。見るのに苦労する。いったいどうしてしまったのだろう■『動植物綵画』はすごいな。いろいろなことをまた考える。それにしても、資料に若冲の生家である青物問屋の場所が記されているが、錦小路と高倉通りの交差点のあたりだとあり、すると僕なんかでも、あそこあたりかとだいたい見当がつくのが京都はすごい。世事に疎く、人付き合いを避け、一人、黙々と家で絵を描く青物問屋の長男といえば、この人物像は、よく知られたいまの我々の似姿だ。出世欲にかられ人脈を広げようと奔走し政治的にふるまうことなどいっさいなく、ただ絵を描いていた京の町絵師。どこの流派から出たのでもなければ、エリートコースを歩むこともなく、独自の芸術感によってマニアックに絵を追求した。だがその執着心のねばっこさは、情念や抑圧などとは無縁で、墨で書かれた動物画の笑いさえ感じる画風には、もっとべつの姿が現れる。また別の表現をすれば、経済的に恵まれた男が、「世間」から逃れよう逃れようとし、その逃れる場所にあったのが、「絵」だったということだろう。その弱さも絵にひそんでいる気がする■というか、ほんとは、「いま」のことを考えていた。書きたいことがうまくまとまらない■
●十一月分
●京都その観光と生活
●トップに戻る